日本は大変災害の多い国です。いつ、自分の住んでいる地域が災害にみまわれるかもしれません。

私たちNPOでは、その重要性を考え、2014年に「今こそ考えよう! 減災フォーラム」を開催しました。神戸大震災の経験がある森西美香先生、東日本大震災の体験とその後の健康づくり活動を教えていただいた岩手県の藤野恵美先生、行政側の対応の仕方についての体験談を教えていただいた入江徳子先生、そしてメンタルケアの専門家で東北にも実際入って支援されていた梅田陽子先生と、机上の空論ではなく、経験に基づく本当に身になる研修をしていただきました。

右バナーからダウンロードできる、エコノミークラス症候群予防運動リーフレットもその時に作成いたしました。私たちは、南海地震が起こってしまうと隣県である高知県が大変になるだろうから、それを支援するための準備をしようとしていたのです・・・

まさか、これが自分たちに役立ってしまうとは・・・

西日本豪雨被害が愛媛県を襲い、特に西予市野村町は甚大な被害を被りました。大切な人がたくさんいる野村町に一刻も早く行ってボランティアしたい!!

という気持ちがいっぱいだったのですが、野村町に入る主たる道が当初は全て遮断されていて、普段は通りもしないような細い道からしかアプローチできません。

ここで、前述の研修会が役立ちました。特別な能力もない私たちが、混乱を極める初期に入っても、何もすることがなく、自衛隊の方などや必要物資を運ぶ車両の妨げになってしまう・・ここはぐっとこらえて、1週間後からまず代表者だけが支援に入りました。

私たちは、運動指導が一番の取柄ですが、この状況では運動どころではない。何よりも泥かきのお手伝いが一番! この当時、電気もきていない中で、熊本市の方も応援に入っていただいて、地元保健師の方中心に的確にボランティア・ボランティアが使用する道具まで適格に仕分けし、熱中症にならないよう、一定時間に休息を促し、水分の補給がある。本当に見事でした。

この時点では、よほど体力のあるメンバーしか役立たないと判断し、しばらくは体力のある者だけが支援に入りました。ここで熱中症になったりしたら、逆にご迷惑。

2週間後、現地の地域リーダーの方とご相談したのは、被災住民の方もですが、その周りの方も疲れてきているので、リラックスできる何かお手伝いをしたい!という事です。

避難所での指導も一瞬考えましたが、実際行ってみるとそんな雰囲気ではない。ゆっくり休みたい方もいらっしゃる。そこで、被災していない集会所に、「ココロの避難所」をつくりました。ちょっと大げさですが、被災者もその周りの人も、ボランティアの方が頑張ってくれるのに、自分たちが休んでいてはいけないとの強迫観念があり、疲れ切っていらっしゃいました。

そこで、ちょっと離れたところで、一時ストレッチやマッサージをし、お互いにお茶でもしながらお話をする。ここにくれば、ちょっと休める! という場を作りました。

避難所は、様々な状況の方がいらっしゃるので、マッサージも一応できる私は、ここでは30分ずつ希望者にマッサージをしながらお話を聞くという活動を夕方から夜にしました。

ただ、私たちは週末にしか入れないし、ずっと関われない。なので、地域リーダーである地元の羽浦さんに健康づくり活動を引き継ぎました。

いつまでも、本当はプロの私たちがタダで運動指導を続けるのは、地元の方の仕事を取り上げるようなものですし、何よりココロのケアは地元の同じような年齢の方の方がずっと素晴らしい。

このように、仮設住宅の中で、地元リーダーによる健康づくりが始まりました。時には幼稚園の生徒たちも参加して、ココロの交流のような企画もされていました。

また、のむらスポーツクラブさんは事務所が水没してしまうような状況から立ち上がり、地元でスポーツによるココロとカラダの健康づくりをすすめていらっしゃいました。微力ながら、当NPOもそのお手伝いをさせていただきました。

素晴らしい事に、絶対に中止になるだろうと予想していた、「のむらノルディックウオーク大会」を3月には開催するところまで復活されました! まだ、町は所々傷跡が残る中、地元の方の手料理でもてなしていただきながら、楽しくウオーキングをすることができました。

私たちも、えひめノルディック・ウオーク協会と協働で大型バス2台で参加し、地元の美味しいお野菜など袋いっぱい買い込んで帰りました。

一年後、梅田先生を現地にお招きして、健康・生きがいづくりフォーラムを開催いたしました。お盆の時期に近く、なかなか出席される方はいらっしゃらないかな・・と思っていたのですが、会場いっぱいのご参加いただき、写真のような笑顔がこぼれるイベントとなりました。

もちろん、被災された方はご苦労の真っただ中だと思うのですが、ひとときでも笑顔になれる時間、カラダを気持ちよく動かせる時間を作れて心から良かったと思いました。

そして、現地スタッフを務めていただいた方々と梅田先生でお茶会をしたときに、様々な苦労話がいっぱいできました。こうして誰かに聞いてもらえる環境って本当に大切だと思います。